2005年1月31日発刊。
甘露寺泰雄、大河内正一、阿岸祐幸、松田忠徳著。
くまざさ出版社。
本書は、2005年当時の温泉の偽装問題、レジオネラ感染症からの塩素消毒を議題に上げ、本当の温泉とは何かを松田氏が司会をしながら座談会のように意見をまとめた本である。
無類の温泉付きでありながら研究者の立場や医師の立場、又は温泉博士の立場など各専門家がそれぞれの専門的な視野から、温泉愛と現状の問題点について議論を交わしている。とても臨場感があり読み応えがある。
令和の今では温泉法も改定され、やや現状は違うと思うが、温泉の本質は何か?というその問いについては普遍的な意味を感じる。
随所に強調されていたいのは「温泉は還元系が基本である」という主張である。
ORP検査法を開発した大河内氏をはじめとして、温泉は還元力があるから体にいいのであり、酸化系では本質が異なるというこの主張には議論の余地がないくらい説得される。
循環式の問題点、換水の頻度の問題など温泉業界が抱える種々の問題点が赤裸々に綴られている。
温泉を愛するがゆえに、温泉の現状に憤りを感じ、なんとかしなければと集まった方々なのであろう。
温泉の愛を感じる一冊である。